昔から、僕は雑誌のファッションスナップを立ち読みするのが好きだった。人の服装を眺めていると「憧れ」「優越感」「高揚感」「嫉妬」「敗北感」、さまざまな感情が揺れ動く。10代や20代の頃ような、あのほとばしる熱量には敵わない。ただ4、0代になった今でも、スナップをめくる時のドキドキやソワソワ、モゾモゾとした落ち着かなさは変わっていない。当時ほど感情を揺さぶられないのは、自分もしっかり大人になり、少しだけ目が肥えてしまったからかもしれない。
特に好物だったのが、当時よくやっていた海外のファッションスナップの特集。その時ばかりは立ち読みで済ませず、雑誌購入して穴が空くまで読み込んでいた。日本人には真似できない、彼ら独特の遊び心が好きだった。固定観念に縛られない自由な発想で服を着ていたなぁ。おそらく、僕は服そのものを見ているというより『その人らしさ』に釘付けになっていたんだと思う。正直、お洒落かどうかなんて、どうでもよかったのかもしれないなぁ。
今でも雑誌でスナップ特集を見かけると、つい手に取ってしまう。「自分らしさセンサー」が反応する雰囲気のある人を見つけると、嫉妬心に襲われ、一旦見ないふりをしてページをめくる。その後、恐る恐るもう一度、その人のことを舐め回すようにじっくり見直す。20年前と変わらないことをやっている自分がいる。
じんわり手汗をかきながら、「チクショー!その発想はなかった」とか「この組み合わせなら、自分の方がかっこいい」なんてことを、立ち読みしながら勝手な妄想戦を繰り広げている。
最近とあるエッセイに出会った。
その人にしか表現できない『その人らしさ』全開の文章が並んでいた。気づいたら、じんわり手汗をかいていた。文章と写真、媒体は全く違うけど、ファッションスナップを読み込んでいる時と、おんなじ感覚になっていた。「それにしても、この一文よく思いついたなぁ」とか「自分ならもっと面白く描写できるはずだ」とか。
僕は結局、人となりが反映されるものが好きなのかもしれない。『その人らしさ』を、自分もずっと追い求めているんだろうなぁ。
今も昔も変わらないもの
当ページのリンクには広告が含まれています。

