40代を過ぎても洋服がやめられない。無職の時でも、どんなにお金が無くても、なんとか工面して欲しい服を手にいれようとする。側から見ると、どうしてそこまで洋服に執着するかきっと理解できないだろう。
かれこれ10年以上になるが、洋服ばかりにお金を使う自分に妻が「洋服は助けてくれないよ!」と痛烈な一言。私の状態を見かねて、もう少し真っ当に働いて、真っ当なお金の使い方をしてくれというメッセージに違いなかった。その時の言葉が胸にグサッと突き刺さったまま、40代の今でも服のことばかり考えている。
人一倍感受性が強く、周りの感情や社会の空気に影響されやすい。ありのままの自分で社会に出るのは皮膚がない状態で外を歩くようなものだ。痛くて痛くて仕方ない。だから「理想の服」という頑丈な鎧を纏うことで、なんとか自分を保っていられたような気がする。不器用でコミュニケーションが苦手な自分にとって、洋服が口での会話の代弁者となってくれる。「自分はこんな人です。」「こんな美学を持っています。」と伝達してくれているのだ。販売や営業時代に接客が苦手でも、好きな洋服を着て自分を表現できてたことでどうにか自分らしくいられた。
あと服を着ることはおしゃれをしているというより、自分の心の調子を確かめているのかもしれない。スポーツ選手が道具を磨くのと同じように。だから、自分が洋服をやめられないのにはちゃんとした理由があるのだ。
いつか、妻に声を大にしてこう言ってやりたい「洋服は財布を助けてくれなかったけど、自分の心は救ってくれたんだよ。」って。
洋服はただの布切れじゃない。自分の大切なコミュニケーションツールなのだ
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