40代になっても、ずっとそばに居続ける自分の洋服や靴たち。「たかが服だろ」と思う人もいるかもしれない。だけど、人とのコミュニケーションが苦手で、内向的な自分にとって大切な自己表現として、ずっと大事な存在であり続けている。
アパレル時代に販売や営業を長年してきた。そんな中、周りと比べてなぜかうまく話せない自分。コミュニケーション術などのネットや自己啓発本を読み漁り実践しても、全然上達することはなかった。そんな風になにかにすがるような努力を何度も繰り返してきた。接客するだけでどもったり手汗をかいて、そんな自分が恥ずかしくてできる限り見せないようにしていた。ある時、接客が怖くなり「いらっしゃいませ!」「ありがとうございます!」が言えなくなったこともあったなぁ。そんな事情を知らずに店長から強要された時は辛かったー。
仕事で自分に合わない境遇でいながらも、同僚やお客さんと共通の洋服の話題で話すことは楽しかった。そして、自分がカッコよく着こなせるようになるための努力は惜しまなかったし、その瞬間が何よりも楽しかった。ファッションは嗜好品とされるけど、自分にとっては自分の人生そのものとも言えるかもしれないくらい大切なもの。コンプレックスだらけの自分に勇気や希望を与えてくれたものだから。
30代前半の時、洋服ばかりにお金を使う自分に、妻から「洋服は何も助けてくれないよ!」と言われたことを鮮明に覚えている。その答えは「NO!」だと断言できる。40代になった今、洋服は自分の心の支えであることは昔と何も変わっていない。洋服を通して自分と向き合っていることが何よりの証拠だ。だから、これからも自分の本質とつながる命綱としてずっとそばに居続けるに違いない。
