僕は妻からの信頼を失ってしまった。特に金銭的な面においては、僕の銀行口座と同じくらいスッカラカンだ。別にギャンブルをして借金を作ったわけでも、お金を借りて、踏み倒したわけでもない。ただ、結婚してこのかた、自分の稼ぎが絶妙に奮わなかった。その結果として、彼女にずっと、負担をかけ続けてきた。
そんな状況をなんとかしたくて、僕は過去に3度の転職を繰り返した。 その度に「今度こそは給料が上がるよ」「生活も安定するはずだ」と、まるで自分に言い聞かせるように彼女に言い続けてきた。けれど、現実はそう簡単には上向かない。上がらない給料と、反比例するように上がっていく世の中の物価。子供はどんどん大きくなるし、現状維持でいいわけないよなぁ。今さら焦りを感じじ、自分の現状を嘆いてしまう。
僕と妻の間には、いつのまにか壁ができてしまった。 ちょうど僕の目線の高さくらいにある、他人めいた無機質な壁。背伸びをして向こう側を覗こうとすれば「こっちを見ないで」と拒絶されるような、なんか冷たい関係性。 だから、何かをお願いするのも、ちょっとした話を聞いてほしい時も、身内ではなく他人に接するような妙な緊張感が走る。つい背筋が伸びてしまうんだよなぁ。
これから彼女の信頼を取り戻していくには、どうすればいいんだろう。 たぶん、ただがむしゃらにたくさんのお金を稼ぐことだけが正解じゃない気がしている。もちろん、それなりの給料は必要だけれど。ただ数字を追うだけなら、心を殺して働いていた会社員時代となんら変わりはない。
本当の意味で失った信頼を取り戻すには、彼女に人生の希望を見せなきゃいけないんじゃないかな。 「ああ、こんな生き方だってあるんだな」という、一つの可能性。 自分を殺して歯を食いしばるのではなく、自分を活かして生きていく姿を見せられたら、彼女も少しは生きやすくなるかもしれないもんなぁ。
それは、道なき道を進むようなもの。ミリオネアの最終問題くらいすごく難易度は高い。(例えが古い)テレフォンもオーディエンスも、フィフティ・フィフティも使えない。自分の信じた道を、自分の足で進んで、答えを導き出すしかないのだ。
いつか、変なフィルターを通さずに、ただの夫婦として会話ができたらいいな。 それまで、彼女の胆力が続いてくれることを願うばかり。とりあえず、そのためには、自分なりの「ファイナルアンサー」を探し続けなきゃいけないんだなぁ。その道は正解がない分、険しい…。
信頼残高ゼロ
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